2010年08月16日のツイート

第33回 このブログを見るかぎり、おれは5本の万年筆を持ってることになっている。しかし実際にはすでに9本に増えている。こっそり追加した4本について記録しておこう。

 持っていることを明らかにしてある4本については、こちらに書いてある。

モンブラン146とウォーターマン・オペラ(写真なし)

パイロット・ボーテックス(146とオペラの写真も)

パイロットのペン字用万年筆、ペンジ

■川窪万年筆店 昭和万年筆・フォルカン
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  後編


 新しく増えた、いや、増やした1本目は帝国金ペン 王貞治 ホームラン万年筆だ。いきなり色物である。
 ネットオークションで落札したもので、入札したのはおれだけ、落札価格は即決の1000円だった。


 おまけとして王貞治の著書『回想』がついていた。
 1981年5月21日発行の第5版。初版も同じ月の10日発行だから、わずか10日で5版とはなかなか不思議である。最近では見ないけど、むかしは最初に書店に並ぶのが第2版なんてこともあったらしいし、世界の王が現役時代に書いた自伝なので、初版ぶんだけでは部数が足りなかったのかもしれない。
 こう考えると『回想』が主役で、万年筆がおまけと考えたほうが適切か。


 このホームラン万年筆が世に出たのは昭和54年というから、西暦だと1979年。31年も昔のことだ。さだまさしが『関白宣言』を歌い、はいだしょうこお姉さんが生まれた年である。
 旺文社の『中1時代』を年間予約したときの特典だったらしい。ちなみにライバルである『中1コース』も当時の年間予約特典は万年筆で、こちらはパイロット製だったらしい。


 オークションへの出品者は、この万年筆の箱を一度も開封していなかった。つまり新品同様の状態でおれの手元に届いた……わけがない。31年の月日はダテじゃないのだ。箱に入っていた2本の黒カートリッジからは水分が抜けて使いものにならなかった。


 万年筆本体はシャンパンゴールドの軸がなかなかきれいで、王貞治のサインもはっきりと残っている。もちろん印刷だけど。重量は外観から受ける印象よりずいぶん軽く、15グラムしかない。









 ペン先は鉄製で、全体に金メッキが施されており、メーカー名がTeikinと刻印されている。適合するカートリッジを探し出し、インクを入れて書いてみると書き味はかなり固い。カリカリ、ガリガリといった感触だ。すこし軸が傾くと、もうインクが出ない。元より"色物"として落札したので、期待外れの落胆はかったが。







 3年間の保証書を兼ねた説明書には、こんなことが書いてある。
「中学生になるとノートをとったり、メモしたり…万年筆がどうしても必要になります(以下略)」。"どうしても必要"とはよく言ったね、と思う。読むのは小学生だから、鵜呑みにしてしまうかもしれない。その"どうしても必要"な万年筆の書き味がこれでは、その子が万年筆そのものを敬遠するようになってしまってしまうかもな、と思った。









 おれの手先がいくらか器用なら、この万年筆をニブ修正の練習台にしたいところだ。しかし一撃でへし折ってしまう確信があるので、インクを抜き、陳列用として飾ることにする。「万年筆は書いてなんぼ」のポリシーに初めて反するって意味で、記念の1本となった。







 オークションの"本体"である『回想』は、なかなかおもしろい本だった。
 なにより好感が持てたのは「ゴーストライターなど使わずに、すべて王貞治本人が書いたにちがいない」と感じさせてくれたこと。なにを根拠に、と聞かれても「匂いだ」としか答えられらいが、王貞治の実直な人柄が伝わってくる内容なのだ。しかし本のなかでは「私はけっして巷間言われるようなまじめ一方の人間ではない」といったことが書かれていて、そのことにさらにまじめさを感じたりして、読み物としても楽しめた。


 うれしかったのは、表2とその対向ページ、表3とその対向ページの2ヵ所に王貞治が書いた原稿の写真が見開きいっぱいに載っていたことだ。けっして達筆ではないが、実直さを感じるには十分な筆跡だった。
 万年筆とペン習字に興味を持つようになってから、ひとさまの筆跡を見るのが楽しくてしかたないのである。







 2本目は100円ショップのダイソーで買ったもので、その名も万年筆 No.1である。なんと潔いネーミングか。黒カートリッジが1本付いている。


 消費税を入れても105円の安さに違わず、キャップはプラスチック製である。
 しかし主軸部分には樹脂加工が施されており、すべりにくくなっている。小技が効いている。重量はわずかに10グラムしかない。これは軽い。持ったときに手が浮いてしまうほど軽い。もちろんおれが持ってるすべて万年筆のなかでも最軽量だ。


 キャップ部分は、軸が透明なプラスチック。その先端にマット調の手触りを持つクリップが嵌め込んである。クリップ部に空いた穴は、デザインだと思えばそう見える。100円にしてはなかなか凝ってるなと思う。ひょっとすると、ボールペンなどの別種の筆記具に使われている部品の流用かもしれないが。


 胴軸も同じ材質で、しっとりした手触りがいい感じだ。
 首軸には滑り止めの用の溝が上下左右の4カ所に彫ってあるのだが、上下の溝と左右の溝は位置がずらしてあって、なかなか芸が細かいのである。
 尾冠などはもちろんないが、先端が丸みを帯びていることで"安っぽさ"からうまく逃れているように感じる。









 ペン先は鉄製で、なんの刻印もないのが潔い。
 どうせガリガリの書き味だろうと思って書いてみると、意外なことにこれがいいのだ。予想の3段階ほど上を行く感じ。じつに軽いタッチで、紙にひっかかることもない。「すらすら」と言ってもウソにはならない書き心地で、「新素材の超軽量万年筆です」と、目隠しをした相手に値段を当ててもらうクイズを出したら、3000円以上の答えが返ってくることが十分あり得そうだ。









 100円にしてはかなりよい。これがおれの感想。
 ただし、インクを入れてキャップをした状態で2週間ほどしまっておいたら、乾燥のために書けなくなっていた。でも、このへんも"ご愛嬌"で済ますこのとのできる値段である。


 インクの供給方式ははカートリッジのみ。ダイソーで4本100円のカートリッジが売られている。このカートリッジはかなり小ぶりで、長さが38ミリしかない。ペリカンのミニサイズやグラフフォン・ファーバーカステルと同じくらいの小ささである。


 じつはこの100円万年筆、筆記用のカートリッジをセットした状態でも主軸内部にけっこうなよとりがあるので、スペアのカートリッジを内蔵しておくことができる。わずか1グラムではあるが、重量が増すので筆記時の安定性が高まるかもしれない。振ると音がしちゃうけどね。


 ひとつ気になるのは、カートリッジの包装紙に「万年筆No.1 No.2兼用」と書かれてることだ。これはNo.1なので、ほかにNo.2も存在するってことか。気になる存在である。


(後編:ピカソとミュー は→こちら

第32回 パイロットのペン習字通信講座を学び始めたのが4月の中旬だから、すでに3ヵ月半が過ぎたことになる。すでに課題も4回提出した。練習時間だって合計すればけっこうなものになるだろう。さて、おれの手はよくなっているのだろうか?


 パイロットから月の頭に『わかくさ通信』が郵送されてくる。電車の中吊りポスターほどのサイズの紙を2枚、2つ折りで使った新聞状の会報だ。8ページが一号ぶんである。この『わかくさ通信』の紙面を大きく割いて掲載されているのが"級位認定者一覧"なるコーナーで、受講者はここを見ることで自分の最新の級位を知ることになる。おそらくほとんどの受講生が最初に見るのもこのコーナーだろう。


 4月の課題の締め切りは翌月の5月10日で、その結果が『わかくさ通信』に載るのは6月頭の送付号。どんな課題を書いたのかを忘れてしまった頃に発表となるわけだ。このあたりのゆったりした時間の流れは、ペン習字にじつに似つかわしいと感じている。
 入会後のおれの級位はこうだ。




課題の月


 発表の月


 級位


4月


6月


9A


5月


7月


9A


6月


8月


(9A)




 みごとに3ヵ月連続9Aである。
 級位のいちばん下は10級で、最高は1級だ。そのうち9級から4級までの5つの級にはAとBがあって、Aのほうが偉いらしい。1級から先は段位となり、1段から7段までがある。
 つまり、AとBをカウントすれば全部で22段階、カウントしなくても17段階のクラス分けがなされているわけだ。
 で、おれの9Aは下から3つめ、ないし2つめなので、パイロットにしてみれば「はいはい、受講生であることはたしかですね」程度のものである。


 上に載せた表のなかで6月ぶんの級位がカッコつきで(9A)となっているのには理由がある。「やっちまった」からだ。なにをやっちまったかと言えば、誤字である。








 誤字や脱字、課題の取り違えなどがあった場合は昇級審査の対象外となり、前月の級に据え置きとなる。
 この月、おれは"写"の字の3画目を、本来は左から右に書くべきところ、右から左に書いてしまった。書き順は合っていたが、書く方向がまちがっていた。審査の先生がそれを正しく咎めて対象外となった次第である。ああ恥ずかしい。


 おれの計画ではこの号の発表で8級Bとなり、ブログの章だても"8級編"になっているはずだったのだ。それが、昇級はおろか規定外。穴があったら……とはこのことだ。


 というわけで、おれはこの講座を始めてから一度も昇級していないのだ。となると、字が上達したのか、それとも受講まえのままなのか、客観的にはわからないことになる。
 でも本人の実感としてはこう思っている。「字はうまくなっていないかもしれないが、丁寧に書こうという意識はすこしだけ身についた」と。
 ま、こんなことを言ったところで、気持ちの問題に過ぎない。「そんなの錯覚だ」と言われれば同意しかねない次元の話だ。


 と書いたところで終わってしまうのもひどい話なので、こんな写真を載せてみよう。4月と7月に同じ文章を同じ万年筆で書いたものだ。



 2組の写真を自分で見比べた結果、すくなくとも"長足の進歩"の跡はないようだ。どちらも長年かけて染みついた癖字のままだと言える。
 ただし7月の字には「それぞれの画の間隔を均等にしよう」という意識がかろうじて見えると思う。
 つまり「上達したとは言えないがきれいに書こうという気持ちの萌芽だけは見てとれなくもない」ってところか。


 いまは8月なので、もうしこしだけマシになっていると思う。でも差はかすかなものだろうから、7月の3ヵ月後、つまり10月になったら、また同じ字を同じペンで書いてみよと考えている。

第31回 パイロットの講座では毎月2種類の課題を提出することになっている。2つのうち添削課題には印刷済みの手本が用意されているが、もうひとつの級位認定課題のほうは文の内容が示されるだけで、字の形や配置については各自が調べる必要がある。

 「その記念館は、豪商が建てた夏の別邸でした。」
 これが今月の級位認定課題である。課題文は毎月頭に送られてくる会誌(紙)『わかくさ通信』の紙上か、パイロットペン習字通信講座のサイトで知ることになる。


 上級のペン習字erになれば、課題の内容=文字の組み合わせ だけを見て、あとは自分で意匠を凝らした作品を作りあげることだって考えらる。しかしおれはよちよち歩きの初心者だから、まねるべき手本を組み立てることから始める。


 手本の字は、三体字典と呼ばれる本から採集する。
 おれが学んでいるB系統では、日本習字普及協会の『ペン習字三体』が推奨されている。三体とは楷書体・行書体・草書体のことで、この本の該当ページをスキャンして一字ずつの手本となる形を集め、画像加工ソフトでひとつにまとめて"お手本"を作るのである。
 集字とは書道の用語で、千年以上の昔から行われていることだが、これもまたパソコンを使った集字である。









 集めた字の大きさを調整して連結し、自分なりの手本を作る。この手本にできるだけ近い形の字を書けるように練習すること。いまのところ、これがおれにとってのペン習字だ。創造性だの個性だのは、まだまだ地平線の向こう側である。


 さて、今月の課題。「その記念館は、豪商が建てた……」と手本を見ながらおっかなびっくり書いてみて「おや?」と思ったことがあった。「建」の字である。一画目が妙に右に下がっているように感じたのだ。
 字をきれいに見せるのに"横線はやや右上がりに書く"というコツがある。
 右下がりに書いてしまうと全体の締りがなくなり、どうにもだらしのない感じが出てしまう。しかしこの「建」の1画目、けっこう下がっているではないか。
 また、1画目、2画目、3画目を延長していくと、右のほうで1点で交わる。ということは、右のほうに要となる点があって、そこから放射状に出ている"何か"なのかもしれない。










 これはどうしたことかと字典を繰ってみる。「建」ではなく「聿」を探す。と言っても電子辞書なので、姿としては様にならない。
 あった、ありましたよ。


聿(イツ) 聿は筆の原字で、ふでを手に持つさまを表す。のち、ふでの意味の場合、竹印を添えて筆と書き、聿は、これ、ここになど、リズムを整える助辞をあらわすのに転用された。


 だそうである。イツ、か。
 なるほどねえ「筆を手に持つ様」だったとは。字の形をまねるように、右手を目の前に掲げて指を動かしてみる。いくつかのパターンを試しているうちに「なるほどこれか」と思える形になった。うん、ペン習字を漢字一文字で表すとすれば、この聿だな。










 この形の指に、上からペンを挿せばたしかにになる。ペンのことをと書くのも納得できる。
 お、こんどはが出てきた。調べてみると書は「『聿(ふで)+(音符)者』で、ひと所に定着させる意を含む」そうだ。「筆で字をかきつけて、紙や木簡に定着させること」という説明だとなおわかりやすい。


 今月の課題の「建」は聿とえんにょうである。これも調べて見ると「聿は筆をまっすぐ手で立てたさま。建は聿+えんにょう(行く・進むの意を表す)で、からだをまっすぐ立てて堂々と歩くこと」だそうだ。なるほどなるほど、建築の基準は垂直と水平だもんな。これに人がつけばとなる。まっすぐ立ってまっすぐ歩けること、それが"すこやか"である。


 聿、筆、書、建、健。いろいろあるなあ。
 ほかには律がある。こちらは「ぎょうにんべん=人の行い+ふで」で、「人間の行いを筆で箇条書きにするさまを示す。リツということばはきちんとそろえて秩序だてる意を含む」そうだ。
 ついでにいえば、この律に草冠のついたは「むぐら」と読み、並び茂って地面を覆う草のことだそうだ。

 筆をもって形と心を律して書く。
 ペン習字は聿である。

2010年07月16日のツイート

第30回 病院のある東京では、今年の七夕はあいにくの天気だった。でも、願いは届くだろう、きっ



前編はこちら











永遠の25才になりたい。




おれの知人にも同じようなことを言ってる人がいますが、ここはノーコメントで。









じいさん(●●源七)の意識が戻り

ますように。血小板も増え血圧の薬を

使わなくても安定しますように。




うんうん、そうなるといいですねえ。








鈴木●さんの口の中の痛みが

少しでも早く良くなりますように




入院中の望みのレベルについて。

「治りたい」がレベル2で、「退院したい」はレベル3だ。

ではレベル1はなにかというと「いまの苦しみを取り去ってほしい」

だと思う。はやくよくなりますように。







最の年に

なります様に




んー、肝心のところで脱字が。最良の年に、だといいんだけど……。







家庭内平和

指輪が見つかったら更にうれしい!!

しのぶ




ありゃ、指輪なくなっちゃったんだ。

見つかるといいですね。







季節に会った

夏はいつくるのだろう


次の世

美人願ふ




夏らしい夏、ねえ。言われてみれば「毎年が異常気象」ですね。

「美人願ふ」はあっさりしているように見えるけど、かなり強い念を感じます。








受け入れができますように




左手で書いたのかな。何の受け入れかはわからないけど、切実な願いのようです。







収入増!!




切実な願いです。







織姫




はて、これは願いごとなのか。ま、いいか。







山の晴れ 水・海の晴れ

  俺のキヅ早く晴れろ

           ok




この方にとって「晴れ」とは特別な思いの込められた言葉なのかもしれない。

いまは雨なのか、曇りなのか。はやく晴れろ。晴れあがれ。







  早く退院して

選挙に行けますように

          岩崎




急がないと。

選挙だって、退院の目標になるんだなあ。







大きいママへ

安らかにお眠り下さい。

娘より




安らかに。







知らぬが

佛も

大事




はっきりと通る声でつぶやかれた印象。

いったいなにが。







池袋の西口

地球飯店の

海老チリ食べたい




とても具体的で明確な願い。

代わりにおれが。











遅刻はもう二度と

しません




んー、書いたのだれだろう。

見習いの看護師さん?







こどもがころばないよーに

●見好似




これも左手で書いたような字だ。

利き腕をケガしてしまったのか、それとも点滴がじゃまなのか。

でも願うのは孫のこと。







瞳が大きく

なりますように




3通りの解釈のできる短冊だ。

まず、美容願望。そして、孫の名前が瞳の場合。

切実なのは瞳=瞳孔の場合。いずれにせよ、なりますように。







二郎ちゃんがもとの元気な

ジジイになりますように!!

皆さんが早く元気に退院できます様に




病院ってのは、よい形で別れることを望む場所なんだよなあ。







早く梅雨が

あけますように。




最後はカラフルな短冊。

いろんな梅雨が明けますように。

2010年07月07日のツイート