万年筆と小物

第41回 後編:ブロッターと3本の万年筆のこと。

前編は → こちら 7.ブロッター ブロッターなる名称と正確な用途を知ったのは最近だが、おれは小さなころからそれを見ていた。 実家は商売をしていた。店の奥にあるレジ台の、小切手用のごっつい数字スタンパーの横が、にそれの指定席だった。形が黒板消しと…

第40回 筆記関係の小物が時間とともに着々と増えている。万年筆も増えている。最近おれが入手したものを中心にまとめておこう。まず前編として、小物編。

8月までに購入したものは ↓ こちら(前編) と、 ↓ こちら(後編) 「書く」関連の小物から。 1.地球儀型ペーパーウェイト ネットオークションで購入したものだ。地球儀なので球体だが、真球だとごろんごろとん転がってしまうので南極のあたりが平らに切ら…

第34回 新しく買った4本の万年筆のうち、今回は金属製の軸をもつ2本のことを書く。ピカソとミュー。なんかのタイトルになりそう。

(前編:ホームラン万年筆と100円万年筆 は→こちら) 3本目はPICASSO PS903-N。 ピカソというメーカーはフランスの会社らしいが、詳細はわからない。品名は落札したオークションショップの表記に倣っただけなので、正確かどうかも知らない。 とにかく、よく…

第33回 このブログを見るかぎり、おれは5本の万年筆を持ってることになっている。しかし実際にはすでに9本に増えている。こっそり追加した4本について記録しておこう。

持っていることを明らかにしてある4本については、こちらに書いてある。■モンブラン146とウォーターマン・オペラ(写真なし)■パイロット・ボーテックス(146とオペラの写真も)■パイロットのペン字用万年筆、ペンジ■川窪万年筆店 昭和万年筆・フォルカン …

第28回 おれの持論は「人は排泄するために生きている」で、排泄本位主義と呼んでいる。言葉どおりに排泄が生きる目的だと言っているわけではなく、「排泄は快感であり、排泄を中心に据えると見通しがよくなる」程度の意味だ。

文字通りの排泄以外にも、我々はいたるところで排泄から快感を得ている。暑い日に水分を我慢して、仕事が終わったあとの一杯のビールでプハー。これもひとつの排泄と言えるだろう。 また、「物を買う」という行為も金銭を介した排泄行為と言えるだろう。衝動…

第27回 万年筆に凝りだすと、つぎはインクかノートに興味が向くというのが定説のようだ。

おれの場合は万年筆に向かうまえの段階でペン習字というクッションをかませたが、それでもやはりインクに対する興味が出てきた。 安いものでも3000円台、ボリュームゾーンが1万円から2万円台、値が張るとなれば10万円の大台を超えるものも珍しくない。それ…

第26回 川窪万年筆店からのお知らせをtiwtterで目にしたのが5月31日の午前10時ごろ。千載一遇! と感じたおれは、2時間後に代金の送金手続きを終えていた。

昭和万年筆・フォルカン仕様、10500円也。 だいぶ時代のついた万年筆だから、価値を感じない人には高いだろう。しかしおれにとっては「川窪万年筆」と「フォルカン」の2役がついた逸品である。 今回の販売本数は4本だったが、おれがオーダーフォームに記入…

第25回 ザラメから生まれる雲の菓子のごとく万年筆への興味が膨らんできたのが2ヵ月まえのこと。日に日に万年筆熱は上昇し、検索ウィンドウに「万年筆」と打ち込んではあちこちのサイトを見てまわった。

インターネットで得られる情報は、あくまで"情報"であり"知識"にすぎない。 目や指で実際に使うことで得られる"体験"や"経験"とは別種のものである。 それでも、日を追って確実に増え続ける万年筆の知識は、おれを幸せな気持にしてくれた。 「モンブランもウ…

第23回 ペン習字を始めた動機のなかで最大のものは"万年筆趣味の免罪符"だ。「手段が動機を追い越しちまったかも」と思いつつ、たまには動機を思い出す。

いまの主力万年筆はウォーターマンのル・マン100 オペラ(以下オペラ)にになりつつある。モンブランのマイシュターシュテュック146で字を書く快感はでかいが、字が太すぎてペン習字の練習にはトゥーマッチな気がする。で、オペラの出番が多くなっている。 …

第7回 伊東屋でお願いしたモンブランとウォーターマンの修理は、長ければ1ヵ月ほどかかるという。待つ間にもおれの万年筆熱が上がり続けていたので、手ごろな価格のものを1本買ってみることにした。

地元の文具店では万年筆が売られていなかった。これは意外だった。その店は、30年ほど昔には「東京で2番目に大きい文具店」を売り文句にしていたくらいだからそれなりの規模ではあるのだが、いまでは万年筆をほとんど置いていない。数本の在庫があるにはあ…

第5回 2本の万年筆を修理に出すにあたって、ネットで万年筆についてあれこれ調べた。便利なもので、情報がどんどん入ってくる。

万年筆そのものを最初に製品化したのはウォーターマンだとか、モンブランはいまではリシュモンの傘下にあって品質の低下が指摘されているとか。ほんの数日まえまで万年筆に関してはまったくの門外漢だったおれが、短時間でにわか万年筆通になっていた。半可…

第4回 さまざまなペンを使ってさまざまな色でノーブルノートに試し書きをした。締りのない字で、1色につき1行だけの試し書き。それでも楽しかった。

「書き心地」。そんなものがあること自体をすっかり忘れていた。 ロットリングのボディーに刻んでもらった自分の名前―本名ではないが―を見て、いいもんだなと思った。たったの8文字の刻印があるだけで、大量生産の工業品が手作りの一品物に化けた気になる。…