第35回 このブログ用のネタは尽きていないが、8級に昇級してから「8級編」として書こうと企んで出し惜しんでいた。しかしいっこうに昇級しない。できそうな気配すらない。

 4月の中旬にパイロットペン習字通信講座を始めてから今日まで、おれとしてはずいぶんまじめに練習を続けてきたと思う。
 堪え性がなく飽きっぽいことは、自他ともに認めるおれの欠点だ。すこしでも深くつきあったことのある人は、申し合わせたように言う。「これで飽きっぽくなければねえ」と。飽きっぽさ。これが他のすべての長所を吹っ飛ばすくらいの、おれの短所なのだ。


 その飽きっぽいおれが、さぼった日はもちろんあるが、ほぼ毎日、100日以上もペン習字の練習を続けてきた。日によっては10分で切り上げてしまうこともあるが、パソコンを利用するなど、自分なりの工夫をして練習を続けてきた。
 となれば字の神様が「うい奴。褒美にじゃんじゃか進級させてやろう」と思っても不思議ではない。不思議ではないのに、なぜかまったく進級できない。不思議である。


 飽きっぽいとは、都合よく換言すれば、理解がはやいってことだ。すぐに先が見えてしまうから、地道に反復することなく、先へ進もうとする。もしくは、ちがう方向へ行こうとする。
 ところがペン習字に関しては、この"理解のはやさ"が発揮される気配がない。ただひとつ、「ペン習字はとてつもなく地味である」ことがけが早い時期にわかっただけだ。きれいな字を書くためのコツなどは、いっこうに見えてこないままである。


  おれが進級できない理由は明らかで、次の級――8級B――となるには字がへたくそだから。パイロットの講師がそう判断しているからだ。これ以外に理由はない。
 この点、パイロットは立派だと思う。会員が次年度も講座の受講を続け、受講料を払い込むように仕向けるなら、がんがん進級させておだててやればいいのに、それをしないからだ。たとえば「3級まではだれでもすぐなれる。その先が講座の本番」という設定にしてもよさそうなものだ。おれが運営側ならそうする。
 しかしパイロットはそれをしない。ほぼ最下級(9級の下にはいちおう10級というものがある)である9級Aから、おれはまったく進級できない。すでに4ヵ月間、この級のままである。こうなると、昇級させないパイロットも偉いが、昇級できないおれもすごいと思うようになる。


 今回は、過去にパイロットに提出した昇級課題をこのページに晒してみる。


 ペン習字のブログといえば、字のきれいな人書くものと相場が決まっている。ペン習字を教えることで糧を得ようとする人のブログ・サイトも多いし、現在勉強中の人でも、人に見せて失礼となるようなレベルの字は、ほとんどない。


 この点で、おれがこれから載せようとしている字は、あきらかに異質だ。自分で写真の整理をしていて「よくもまあ、この字を公の場に」と呆れたほどだ。
 ペン習字の指導者を目指す人であれば、不出来な例のひとつとして参考にすることもできるかもしれない。
 しかし、自分がきれいな字を書けるようになるためにペン習字を始めたばかりの人に対しては、これから先を見ることをおすすめしない。この先は、「自分のほうがはるかにましだ」と優越感を抱くくらいしか、使い途はないと思う。


 いままでの練習の方針について触れておこう。
 「手本の字の形をまねること」。これを主眼として練習してきた。具体的な方法は"セルフ添削システム"としてここに書いたが、線の長さ、間隔、角度などをできるだけ手本に近づけるための練習を繰り返してきた。
 その結果、形ばかりを気にするようになり、線が死んだ。手本の字形をまねることばかりに気が殺がれ、運筆に緩急や勢いがなくなってしまった。
 たちが悪いのは、勢いを失った代わりに正確な字形を覚えられたわけじゃない、って点だ。元々の癖(手の癖と脳の癖)と手本の形がありがたくないバランスで折衷し、どうにもバランスのよろしくない形の字になっちまっている。


 今回は、4月から8月の5ヵ月間に提出した課題と並べて、今日書いた字も載せてみる。恥をかくなら皿まで。
 新しいぶんを書くにあたっては、字の形はあまり気にせず、「気持よく書く」ことを念頭に置いた。提出した課題の2〜3倍の速さで書いてある。


 まあ、脳のリハビリにはなっているだろう、と自分を慰めている。


 では、覚悟のある人だけ、この先をどうぞ。


















※この月は規定外だった。「写」の3画目を右から左に書いて

 しまったためだ(正しくは左から右)。

 今日書いたときはさすがに正しい方向で書いたが、

 「撮りましょう」が「撮りました」になっちゃってる。

 抜け作ここにあり。










 それぞれの字について言いたいことはあるが、今日のところは黙っておこう。