第3回 ノーブルノートを買ったオンラインショップで、ロットリングのペンを注文することにした。

 名入れ代は600円〜800円(ペンの素材による)だが、税別で5000円以上の買い物をすれば無料になる。さらに、送料までショップ負担だ。
 ペン自体の定価は5000円だが、その店ではちょと安くて3900円をすこし欠けるほどだった。この値引きぶんを他の買い物で埋めれば「無料で名入れしてもらったうえに送料もタダ」という満足感が味わえる。もしくはおよそ1000円分の商品を無料で手に入れたと考えてもいい。ショップの戦略に素直に乗るおれは、いいお客だと思う。


 合計5000円を目指して、ショッピングサイトのなかを行きつ戻りつしながら小物を物色す。『目方でドーン!』というバラエティー番組を思い出した。女性の体重のぶんだけ商品を集めて、誤差が3キロ以内なら全部もらえるって番組。最後に小物で微調整する感じが、どこか似ている。


 微調整用として選んだのは、まずはペンループ×2つ。ロイヒトトゥルムというドイツのメーカーのもので、ノートカバーにペンを挿すために使う。ほぼ日手帳のように2本挿しにしようと思って、これを2つ購入。小計960円。







 これだけだとすこし足りないので、ステッドラーのボールペン芯でさらに微調整。180円。アバンギャルドというペン用の替え芯に蛍光オレンジのものを見つけ、こりゃ珍しいと買い物かごに入れた。おれが買ったロットリングのペンには最初から黒・赤・青のボールペン芯が入っているが、このなかの青を抜いて蛍光オレンジと挿し替えればオリジナルセットとなる。これしきのことで工夫とかアレンジと言うのもおこがましいが、このあたりの「ちょっとしたアレンジ」が文具の楽しみだよな、と懐かしい気分に浸った。


 工夫未満の工夫といえば、こんなのがあった。おれが雑誌編集者だったころに使っていた赤青ボールペン。いまはどうなっているか知らないが、10年くらいまえの編集者は赤と青のボールペンを酷使していた。いちいちノックで切り替えるのではもどかしいから、2本をセロテープで貼りあわせただけのものなんだけど、これはじつに便利だった。くるくる回しながらばりばり赤を入れたもんだ。もうずっと使っていなかったのに、なぜか机上のペン立てに差さっていた。赤ペンの先の金具が欠けちまってるけど、試してみたら一発で線が引けた。







 ノーブルノートを持ち運ぶためのノートカバーはすでに買ってあった。ノートを裸で持ち歩くとすぐによれよれにしてしまいそうだったから、防護服が必要だと思ったのだ。
 選んだのはコクヨのシステミックという製品で、止め輪と大きめのポケット、しおり2本がついているのが気に入った。ちがうメーカーからペンループつきの製品も出ているが、表面の素材が布っぽいのが気にいってコクヨに決めた。


 で、組み合わせたらこうなった。システミックの表面に細かく走っている斜線はスキャンしたときのモアレで、実際はもっとすっきりしている。ペンホルダーをシステミックに貼り付けるときにちょっとだけ工夫が必要だった。2本挿しが無理だったのは残念だが、おおむね満足してる。







 さっそく試し書きをしてみる。
 とくに良い文句を思いつかなかったので、ロットリングが加わって3本となった手持ちの筆記具で、それぞれの色のペンを使って書いてみる。







(10月12日追記 残念だな、PIROTでもないよ。正解はPILOTだ)


 ステッドラーの蛍光オレンジ芯は、なんの問題もなくロットリングのペンにセットできた。しかしインクの出が悪いうえに読みにくい。使いどころの難しい色のようだ。
 筆跡については、これでも殴り書きしたわけではない。いまの時点での「丁寧に書いたつもりの字」なんだ。