第40回 筆記関係の小物が時間とともに着々と増えている。万年筆も増えている。最近おれが入手したものを中心にまとめておこう。まず前編として、小物編。


8月までに購入したものは

こちら(前編)
と、

こちら(後編)




 「書く」関連の小物から。



1.地球儀型ペーパーウェイト









 ネットオークションで購入したものだ。地球儀なので球体だが、真球だとごろんごろとん転がってしまうので南極のあたりが平らに切られ、そこにフェルトが貼ってある。あ、いまの「そこに」は駄洒落ね。
 サイズは直径約8センチ、重量422グラム。けっこう重い。素材は石なので、鈍器としての活用も可能だ。


 おれが入手したのは海の部分が黒の、渋いカラーリングのものだ。しかし同じデザインでも色違いが多くあるようて、赤、青、、白、緑の存在を確認している。
 色とりどりの石を組み合わせて球形に研磨したものだが、精度はなかなか高く、表面もすべすべである。日本は水色の石で、本州しかないのはご愛嬌。


 鑑賞用としては満足できるデキである。しかしペン習字の練習をするときに文鎮として使うにはすこしばかり難がある。というのも、球形なのでどう置いても邪魔になってしまうから。そんなことは買う前に気づけよ、って話ですがね。




2.クリスタルペーパーウェイト









 こちらはなにかのイベントでいただいたもの。中に埋め込まれたプレートにはこう記されている。


METAL GEAR SOLID2
SONS OF LIBERTY

WORLD PREMIERE
MAY 10,2000


 書いてある以上、10年まえの5月にゲームソフトの発表会でいただいたことを疑う余地はない。しかし、おれには『メタルギアソリッド2』の発表会に行った記憶がまったくないのだ。残っているのは物的証拠であるこのペーパーウェイトだけ。


 サイズは、たて横が7.5センチの正方形で、厚さが2.4センチ。重さは156グラムなので、先の地球儀ペーパーウェイトの3分の1といったところ。文鎮としては形状こそ地球儀よりも使いやすいが、ちと軽すぎる。ぴったりの形と重さってのはなかなかないもんだ。


 ペーパーウェイトはこの2つのほかに金属製で木の葉形のものを持っていて、それがいちばん使いやすい。
 さらにもうひとつ、『タクティクスオウガ』というゲームの発売を記念してこっそり配られた"デネブのかぼちゃ"という名のクリスタルペーパーウェイトも持っているはずなのだが、いくら探しても出てこない。
 ゲームそのものにも思い出があるし、文鎮としても使いやすかったので、とても残念だ。




3.アピカ学習帳 じゆうちょう









 これもネットオークションで落札したものだ。12冊セットで200円だったから、1冊あたり約17円である。安い、安すぎる。


 こどもの頃からおれは「小さいもの」が好きだった。ただ小さいだけのものより、ミニチュアが好きだった。つまりオリジナルを正確な比率で縮小したもの。さらにミニチュアでありながら実際に使えたら最高だ。その意味では、じつにおれ好みのノートである。


 とにかく小さい。何判というのかわからないが、似たものを探せば生徒手帳か。たて10.4×横7.5センチ。面積はA4サイズの8分の1ほどである。実用品として使える最小のノートと言ってもよいだろう。


 どう使うかの具体的なイメージなど持たず、「なんだか楽しそう」という理由だけで落札した。たくさん持っていてもしかたないので、2冊くらい残して娘にプレゼントしようかと思う。




4.スタンプ3種類


 自分だけのオリジナルデザインでシーリングワックスや焼きゴテを作ったら楽しいだろうな。そう思って実際に見積もりをとってみると、生活が圧迫される値段だった。無理して注文したところで、頻繁に使うものでもないから、宝の持ち腐れになっちまいそうだ。


 それでもオリジナル印がほしい気持ちがくすぶり続けたので、スタンプを作ってみた。
 ナゾベームをデザインしたものを図と地を逆転させて2パターン。
 さらに、「田」1文字だけのスタンプをひとつ。このところ気に入って自分のシンボルとして使っているマークだ。右上の区画に色を塗ることで、視覚の4分の1が欠けたいまのおれを表す形だ。



















 製作をお願いしたのは大谷印舗というオンラインショップだ。
 図案をこちらから送る必要があるので手続きは少々面倒だったが、目先の利益ぬきで相談に乗ってくれる良心的な店だった。
 価格はスタンプ3つで1690円。よほどのことがないかぎり一生使えることを考えると、ずいぶん安い買い物だ。




5.万年筆ケース


 万年筆を1本だけ持ち歩くのに使えるような、便利でおれらしい容れ物はないだろうか。と、けっこうまえから考えていた。
 ふつうなら1本用のペンシースに落ち着くところだが、あいにくおれが気に入った商品はつねに品切れだ。それなら他の用途で作られたものを代用しよう。こう考えた末の結論がこれ。
 正式名称はフジサワ ウッドシガーケースA(チャーチルサイズ)というらしい。540円だった。









 なんのことはない、1本用の木製葉巻ケースである。
 写真ではわかりにくいが、ケースに入れてあるのはウォーターマン ルマン100 オペラである。おれが持っている万年筆のなかでは大ぶりなほうだ。モンブラン146を入れても少しゆとりがあるので、将来149を入手したときにも活躍してくれるだろう。


 運搬中に筒のなかで万年筆が暴れて傷つくのを避けるために、蓋と底にスポンジを詰めてある。
 思い出したときにつやふきんで拭いているので、なかなかよい色合いになってきた。





6.2本のボールペン


 万年筆に興味を抱くようになってからも、ボールペンに対しての態度は冷たかったように思う。利便性ならボールペンのほうがずっと上だと認めつつ、便利なぶんだけないがしろにしていた感がある。


 そんなわけだから、おれのものになってしまったボールペンは不幸である。しかし、そのなかでも例外的に大事にされてきたのが、これだ。









 名前もメーカーもわからないが、とにかく木軸のボールペンである。本当は姉の持ちものなのに、借りて使っているうちにおれの握り癖がついてしまい、「あげる」となった。もちろん「ありがとう」といただいた。


 サイズは長さ15.5センチ。グリップのいちばん太いところの幅が1.9センチなので、モンブラン149のインク窓の部分とほぼ同じだ。重さは10グラと、かなり軽い。


 グリップ部分は、もとは白木だったのに、おれの指の脂とつやふきんでずいぶん色がついた。かなり柔らかい木が使われているので、しっくりとしたホールド感が心地よい。
 しかし全体の軽さのせいか、つい筆圧が高くなってしまうのが欠点といえば欠点である。


 そこで「重めのボールペンが1本あってもいいな」と思って手に入れたのがこちら。










 入手方法は例によってネットオークションである。上の木軸ボールペンと同じく、正しい名前はわからない。オークションでは欧州ボールペンとなっていた。


 定価は6090円らしいのだが、450円で落札した。新品なのに、である。素直に考えれば92%引きとなるが、「定価なんて赤い二重線で消す見せ値のようなものだろうから、 たいした品ではないだろう」とたかをくくっていた。


 しかし、ところが、お客さん。実物を手にしてみると、いいんだなこれが。


 サイズは、ペン先を出した状態で長さが13.5センチ、軸の太さは約1センチ。重さは36グラムあって、この重量が字を書くときの"頼り甲斐"になる。やや寝かせた角度で、軽い筆圧で書いてもだいじょうぶ、という気にさせてくれるのだ。


 ボディーは出品者によれば"特殊カーボン製"とのことだが、2種類の色でそれぞれのパターンを織り込んだあたりが"特殊"らしい。
 たしかに実物を見ると、濃いピンクのV字パターンと、銀に近い色の縄文が立体的に重なり、眺めて飽きることがない。写真では中学生女子に似合いそうな柄に見えるが、実物はずいぶん落ち着いたデザインである。


 字やロゴマークが本体のどこにも刻印されていない。どうやら、このボールペンを作っているメーカーに「パターン以外は無地で」と注文したらしい。これ、なかなかの英断だと思う。


 機構はツイスト式というらしい。クリップリングより上の部分を右にまわすと、ペン先が螺旋状に回転しながら出てくる。左にまわせば引っ込み、さらにまわし続けると上部が本体から分離してペン芯が交換できる状態になる。
 じつはボールペン素人のおれはこの仕組みがわからず、ペンを持ったまま数分間悩んだのだった。


 おれが落札したのはピンクだが、ほかに赤、青、黄、緑(これは赤と緑のクリスマスっぽいカラーリング)が存在するようだ。
 もし450円で買えるなら、全種類ほしいところである。


 3本の新入り万年筆については、→ こちら